はちみつ④ 花蜜から糖度80以上の蜂蜜へ、ミツバチの蜂蜜作り工程。

はちみつ④ 花蜜から糖度80以上の蜂蜜へ、ミツバチの蜂蜜作り工程。

こんにちは、「むすび」石原です。

ミツバチ以外に誰も、蜂蜜を作れません。ミツバチの体内酵素によって分解された花蜜が、「蜂蜜」に変わります。

花蜜は、巣内の仕事を卒業したベテランのミツバチが、集めます。約40日とされる短い一生の中で、巣の内外で様々に担当する、ミツバチのお仕事を紹介します。

【 お伝えしたいこと!目次 】



  1. 蜜蜂の家族、コロニー(巣)
    1. 女王蜂・雄蜂・働き蜂で構成する家族
  2. 全て巣のため、働き蜂の仕事
    1. 蜜蜂の力、花蜜から糖度80度の蜂蜜へ
    2. 一生をかけて作る蜂蜜は、小さじ一杯
    3. 約40日の寿命を献身し、作られる蜂蜜
  3. 蜂蜜製造、蜜蜂だけの能力
    1. 無限に近い賞味、それほどに傷まない

1. 蜜蜂の家族、コロニー(巣)

生後約20日以降の働き蜂は花蜜と花粉の収集を担う
▲ 生後約20日以降の働き蜂は、花蜜と花粉の収集役を担います。

1-1.女王蜂・雄蜂・働き蜂で構成する家族

ミツバチは、単独で生きられず、コロニー(巣単位の群)を作って、集団で生活します。コロニーは、1匹の女王蜂、2~3千匹の雄蜂、数万匹の働き蜂で、構成されます。

  • 女王蜂:コロニーに1匹しか存在せず、卵を産むだけが仕事です。
    毎日、1000~1500個の卵を産みます。
    女王蜂の寿命は、3~4年で、蜂蜜や花粉を餌にせず、若いミツバチが分泌する、ローヤルゼリーのみを食べます。
  • 雄蜂:無精卵から産まれた蜂で、女王蜂と交尾するだけが仕事です。
    コロニーの約10%をオス蜂が占めます。女王蜂と交わったオス蜂は、女王蜂の体内に生殖器ごと残して、直後に死を迎えます。
  • 働き蜂:受精卵から産まれた蜂で、多岐に渡る巣内の仕事を行います。
    コロニーで圧倒的多数を占め、全てメス蜂です。卵は、女王蜂が発すフェロモンによって、卵巣発達が抑えられており、産みません。

働き蜂は、成長するに伴い、幼蜂や女王蜂の世話、巣作り、蜜の採集や貯蓄、門番、空調管理までも、様々な仕事を担います。春生まれの蜂は、30~40日ほどの寿命で、秋生まれの蜂は、冬を越し、4~5ヶ月を生きます。

2. 全て巣のため、働き蜂の仕事

花蜜から蜂蜜へ体内酵素で変換し貯蜜するミツバチ
▲ 花蜜から蜂蜜へ体内酵素で変換し、濃縮して巣へ貯蔵します。

2-1.蜜蜂の力、花蜜から糖度80度の蜂蜜へ

自然界で一番甘いとされる蜂蜜の糖度は、約80度あります。ミツバチが、あのとろりと濃厚な蜂蜜の作る手順です。

  1. ミツバチは、野山に花が咲く季節になると、蜜源と巣の間を、1日何十回も往復し、花蜜を集めます。花蜜は、お腹の中にある「蜜胃」と言う器官に貯えて、巣に持ち帰ります。
  2. 花蜜は、ミツバチの体内酵素で分解されて(ショ糖 → 果糖とブドウ糖)、蜂蜜へ変化していきます(この時の糖度は、まだ水っぽく20~30度)。
  3. 巣に持ち帰った蜂蜜は、巣の中で働く仲間に、口移しで渡します。
  4. 受け取った蜂蜜を、膜状に引き延ばし、水分を蒸発させていきます(この時の糖度は、40~50度)。
  5. 六角形の巣穴に貯蔵し、約3日、羽根を震わせ、さらに水分を蒸発させます。約80度まで糖度を上げ、完熟させると蜜ロウを分泌し、蜂蜜に蓋(蜜蓋)をして、完成になります。
蛋白源の花粉を団子にし後足へ貼り付けたミツバチ
▲ タンパク源の花粉を団子にし、後足へ貼り付け巣に戻ります。

2-2.一生をかけて作る蜂蜜は、小さじ一杯

花から花へ、飛び回るミツバチは、巣内の仕事を卒業し、外勤になったベテランの働き蜂です(生後20日以降で、生涯最後の仕事になります)。

蜜源と巣とを、毎日20回も30回も往復します。1回につき、体重の約半分(40~50g)の花蜜を、巣に持ち帰ります。

巣内で子育てが盛んに行われている時には、タンパク源になる花粉を丸めて、後ろ足に貼り付けて持ち帰ります。

巣に戻ると、待機する後輩ミツバチに、口移しで蜂蜜を渡し、再び蜜源へ向けて、飛び立ちます。それでも、ミツバチ一匹が一生をかけて集める蜂蜜は、ティースプーン一杯ほどの量です。

生後約14日から巣の出入口で命を張る門番役を担う
▲ 生後約2週間から、巣の出入口で命を張る門番役を担います。

2-3.約40日の寿命を献身し、作られる蜂蜜

約40日と言われる働き蜂の生涯。羽化後、ずっと同じ仕事をするわけでなく、担当する仕事は、次々に変わります。

  1. 掃除係:生後3日後、最初の仕事が巣房の掃除です。ミツバチは、とても綺麗好きです。
  2. 世話係:生後5日後、幼蜂に餌を与えたり、ローヤルゼリーを分泌し、女王蜂に与えます。
  3. 左官係:生後7日後、約35℃に保つ空調管理や、ロウを分泌し、六角形の巣作りを行います。
  4. 貯蔵係:生後10日後、集蜜してきた働き蜂から、蜜を受け取り、蜜房に貯蔵・熟成させます。
  5. 防衛係:生後14日後、出入口の門番を担います。スズメバチや鳥など敵の侵入に命を張ります。
  6. 採蜜係:生後20日後、生涯最後の仕事。花蜜や花粉収集のため、外の世界へ飛び立ちます。

命が尽きる最期まで、花蜜や花粉、水を集め、コロニー(巣)のために働きます。

そして、巣内で絶命した場合、巣外へ放り出されますが、多くのミツバチは、死期を悟ると、自ら巣外へ出てその生涯を終えると言います。なんだか切ないですね...

3. 蜂蜜製造、蜜蜂だけの能力

アンチエイジングでクレオパトラに愛用された蜂蜜
▲ クレオパトラに愛用された蜂蜜、抗酸化や殺菌力に優れます。

3-1.無限に近い賞味、それほどに傷まない

幼蜂の餌や、越冬の保存食として蓄えられる蜂蜜は、栄養豊富なだけでなく、強力な殺菌力を持つ天然保存食です。

80度を超えるような糖度の蜂蜜が、腐敗することは、まずありません。10年、20年経っても、ヘッチャラです。

(古代エジプトでは、ミイラ創りの防腐剤として使われました。ピラミッドから発掘される蜂蜜は、今も食べられると言います。)

賞味期限は、生産者各々の判断で「2~4年」で設定する場合が多いですが、過ぎてしまっても、全く問題ありません。風味が若干落ちる可能性があるくらいで、平気で食べられます。

古い蜂蜜は、砂糖の代用品として、肉や魚、煮物などの調理に使って、新しい蜂蜜は、トーストやシリアルなど、直接食すに使うなど、上手に使い分けるのも賢いですね。

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以上です。最後までお読みくださり、有難うございました。

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