そうめん|手延べ麺と機械麺、素麺と冷麦の違い、高級そうめんとは?
こんにちは、「むすび」石原です。
そうめん、ひやむぎ、うどんの違いは、ご存知でしょうか? 「日本の麺のルーツ」であるそうめんは、何と元々、油で揚げたお菓子だったと言います。
今は、3つとも白く長い麺ですが、どんな違いがあるでしょうか? 歴史の違い、延ばすと切るの違い、手延べと機械の違い、太さの違いなど、そうめんを中心に諸々綴りました。
【 お伝えしたいこと!目次 】 |
1.素麺(そうめん)とは?
1-1.シンプルゆえに奥が深い、素麺の世界
そうめんは、小麦粉、塩、水をこねて生地を作り、油を塗りながら、手を使って、細く細く延ばされた麺を「そうめん」と言いました(かつて)。
現在、機械で作る「機械素麺」と、手で作る「手延べ素麺」(大部分が機械に置き換わっていますが)あります。
そうめんは、日本農林規格(JAS)で、直径1.3mm未満と定められ(手延べ素麺は1.7mm未満)、太さのみで決まります。
原材料は、小麦粉、水、塩、(油)だけ。至ってシンプルです。けれども、手作業で時間をかけて作られる手延べ素麺は、製麺所によって、かなり違いがあります。
違いなんてないようにも思えるも、いやいや! 手延べ素麺と機械素麺、手延べ素麺の中でも、製法や細さの違いに着目し、色々そうめんを吟味して選ぶのも、楽しいです。
1-2.今は太さのみ、素麺と冷麦等との違い
かつては、当然手作業しかなく、原材料が同じそうめん、ひやむぎ、うどんは、太さだけでなく、「製法」も考慮されて、分類されていました。
- 小麦粉、塩、水をこねて生地を作り、油や澱粉を塗りながら、よりをかけて細く延ばす麺が「そうめん」。
- 小麦粉、塩、水でこねた生地を、麺棒で延ばし、刃物で太めに切る麺が「うどん」、細めに切る麺が「ひやむぎ」(地域によっては、「麦切り」や「切り麦」)と言いました。
しかし、明治以降、機械製麺が普及したことで、状況が変わります。
生地を絞り出す穴の大きさを変えるだけで、切る太さを変えるだけで、「製法の違い」が、ほぼ無くなったのです。
現在、機械乾麺のそうめん、ひやむぎ、うどんを分ける基準は、太さだけです(そうめん:直径1.3mm未満、ひやむぎ:直径1.3~1.7mm未満、うどん:1.7mm以上)。
1-3.手延べ麺は、1.7mm未満まで素麺基準
手延べ素麺の場合、機械素麺のように、同じ太さの麺で揃えることが、難しいです。
このため、JAS「乾めん類品質表示基準」は、そうめんであっても、ひやむぎであっても、手延べ麺の場合は、「直径1.7mm未満なら、そうめん」という基準が設けられています。
(半田素麺や、白石温麺など、直径1.3mmを超える場合があります。)
そうなると、そうめんとひやむぎの基準が、全く同じものになってしまい、機械製麺より、区別が難しくなります。
そこで、「色つき麺」という工夫がされました。ひやむぎにだけ、ピンクや緑の麺を混ぜたのです。今でも存在しますが、あの色の付いた麺は、そんな意味があったのですね。
1-4.繊細で上品な食感、細いほどに高級品
太さの違いを意識して、そうめんを選ぶ人は、少ないかもしれませんが、細いほど技術を伴います。三輪素麺など、細いほど高級品になります。
味わいは、細いほどに上品で、とても清らかな食感を有します。食道を滑らかに流れる喉越しも、クセになります。
尚、太いほど、甘味を感じる実験結果が出ています。より太くなるひやむぎ、うどんは、より甘味を感じます。
同じ原材料で作っていても、太さの違いによって、味にも違いが生まれるのは、おもしろいですね。
細いそうめんと、太いそうめんで変わる食感や喉越し、茹で加減でも変わる味わいの違いを、楽しめるのも、そうめんの醍醐味の一つです。
2.そうめん、ひやむぎ、うどんの歴史
2-1.中国唐より伝来し日本麺の起源、素麺
麺が誕生したのは、およそ1800年前の中国、魏の時代と言われます。
「索餅(さくべい)」という、小麦粉ともち米(米粉)を練って、縄状ににねじり合わせて油で揚げた貴族のお菓子が、麺(そうめん)の起源とされます。油で揚げるお菓子が発祥とは驚きです。
- 奈良時代、遣唐使が「索餅」を奈良県桜井市で伝えたことが、日本の麺(そうめん)の発祥とされます。和名で「麦縄(むぎなわ)」と呼ばれ、平安時代には、七夕の宮中儀式で、そうめんがお供えものにされています。
- 室町時代になると、現在の細長いそうめんの形、製法、料理法が形成されたと考えられています。 そして「索餅」に変わって、「索麺」や「素麺」が、文献に登場するようになります。
- 江戸時代中期、これまで宮中や寺院の料理であったそうめんが、庶民の口に入るようになり、全国各地へそうめんづくりが広がっていきました。
そうめんは、奈良時代に中国より伝わり、1200余年という長い歴史の中で、日本独自に変化しました。
宮中行事などの特別な機会にのみ食べられたセレブの麺が、庶民に広がり、夏の風物詩となっていったのです。
2-2.冷麦とうどん、素麺から派生し大衆化
ひやむぎとうどんは、そうめんから由来し、室町時代に登場したとされます。
製法は、そうめんと途中まで同じで、こねた生地を麺棒で延ばして、細く包丁で切って麺にします。「麦切り」や「切り麦」と言われました(今でも東北地方では、名前が残っていますね)。
(そうめんは、こねた生地を、油を塗りながら切らずに、細く延ばして麺にしていく作り方です。)
- 江戸時代、「麦切り」や「切り麦」から、水で冷やして食べる「ひやむぎ(冷麦)」、熱い汁で食べる「あつむぎ(熱麦)」へ呼び名が変わりながら、庶民に広まったそうです。
- 現在、麺が細く、冷やしやすい「ひやむぎ(冷麦)」は、そのまま残りました。
- 「あつむぎ(熱麦)」は、食感を長く保ちにくく、太く熱も逃げにくい「うどん」に変わっていったとされます。
3.素麺の御中元に、込める意味
3-1.手延べなら3年平気、素麺の賞味期間
乾麺のそうめんの賞味期限は、結構長いです。手延べ素麺なら、3年ほど平気です。夏が終わる頃、早く食べ切らなければと、焦らなくても大丈夫です。
- 半生麺:生麺に近く、作りたての味わいを楽しめるのが、半生麺です。小麦の豊かな甘味を感じられると思います。水分が多いため、長くても3ヶ月ほどの賞味期間です。
- 乾麺:賞味期間は、1~2年あり、常温保存が可能です。木箱に入った高級そうめんは、湿気を吸収するため、乾燥具合が良く、2年以上でも大丈夫です。
- 手延べ素麺:小麦粉・水・塩のみで作られますが、手延べ素麺は、製造時に乾燥を防ぐために、表面に油が塗られます。コーティングされた油が、湿気の吸着を抑えて、品質を保持します。
3-2.「長いお付き合いを」素麺の贈りもの
自身や家族の体を気遣うはもちろん、大切な方や日頃お世話になった方を気遣い、感謝を込めて贈る夏のご挨拶が「お中元」です。
江戸時代の頃から、手土産を持参し相手様へ伺うようになった習わしが、今に続いているとされています。
そうめんは、その長い容姿から、「長いお付き合いをお願いします」の意味が込められた、夏の贈り物の定番です。
直接お渡しできずとも、大切に思う先様を気遣い、品物に思いを込めてお贈りする「お中元」は、日本独自の美しい文化です。
疎遠にもなりやすい今のご時世。「元気です」とお伝えするメッセージにもなりますね。
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以上です。最後までお読みくださり、有難うございました。