世界有数の農薬大国、日本② 温暖気候や市場要求、農薬使用が減らない理由など。
こんにちは、「むすび」石原です。
日本は、世界トップクラスの農薬消費大国です。まず、知って欲しいことは、「日本で無農薬栽培は、とても難しい」ということです。
温暖湿潤の気候や市場の品質要求などが、その理由です。しかし、世界では今、オーガニック意識の高まりや、農薬規制の動きが進んでいます。農薬にまつわる色々を、綴りました。
【 お伝えしたいこと!目次 】 |
1. 日本の農薬事情、消費が多い理由
1-1. 生物が生きやすい、温暖湿潤だから
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日本は、無農薬栽培が難しい、暖かく湿った気候。
多くの動物や植物が、密集しても、生存できる豊かな環境です。病害虫にとっても同じで、集まってきます。また農薬が雨で流れてしまい、散布回数が多くなってしまうのです。
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欧米は、病害虫が発生しにくい、涼しく乾いた気候。
その証拠に、欧州では、コショウやトウガラシなどの香辛料が、育ちません。外敵がいないため、「辛味成分」で自身を守る必要がないのです。
もちろん、北海道と沖縄で違い、北欧と南欧でも違います。それでも日本は、欧米に比べて高温多湿な大地です。
1-2. 狭く密集する、農地集約農薬だから
日本は、国土が小さい上に、山岳地が広く、多くの人口を抱えます。
耕作地の狭い国は、ハウスの活用など、いかに収量を上げていくかが大事で、栽培技術を発展させてきました。
韓国やオランダなども典型で、国土の小さい国々は、トマトやキュウリなど、小さな面積でも収益の上がりやすい作物が、盛んに栽培されます。
ただこのような農地集約の農薬は、どうしても単位面積あたりの農薬使用量が、多くなってしまう傾向にあります。
1-3. 緩い農薬基準、適用範囲が広いから
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世界保健機構(WHO)は、2015年、除草剤「グリホサート」を、発がん性物質と指しました。
この発表を受け、各国は、規制強化や使用禁止に乗り出しました。日本では、一番使われる除草剤です。米国から日本向け輸出小麦には、作物直接散布とも言われていて、食パンから残留農薬が検出されています。
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ミツバチ大量死と因果があると言われる「ネオニコチノイド系農薬」3種が、EUで使用禁止になりました。
フランスでは、さらに厳しく、2種を加え、主要5種で使用が禁止されました。逆に日本では、2016年、「ネオニコチノイド系農薬」のドローン散布が解禁されたのです。
1-4. 日本気質、几帳面で綺麗好きだから
几帳面で綺麗好きな日本人の気質は、素晴らしいです。
しかし、傷がついていたら遠慮します。変形も要らないです。虫食いなんてとんでもない。加えて、鮮やかで、大きくて、いつもの価格で、切らすことなく安定供給。
そうなると、作り手は、見た目が絶対になります。ちょっと過剰かもと思っても、虫を寄らせないため、生長を促進させるため、農薬に頼ります。
「綺麗で、大きく、整った容姿の品質要求に応えるため、農薬を多めに使う。」私たちの意識が、農薬の助長に少なからず加担しているのかもしれません。
2. 消費者が変わると、社会が変わる
2-1. 消費者の言動が生んだ、欧米の変化
農薬に向き合い、簡単でない中、あの手この手を駆使し、安全な作物づくりを目指す作り手が、少なからずいます。
私たちの健康だけでなく、未来の人々と環境の健康を気遣い、作物を作っていく。そんな作り手さんを、応援して頂けたら嬉しいです。
今、欧米では、農薬への反対や、オーガニックへの購買が、社会変化を生んでいます。政府を動かし、農薬使用を禁じる法律が、施行され始めています。
EUの卵は、有機や平飼い、生産者など、一玉一玉に識別番号の印字が義務付けられています。米国でも、ホルモン剤フリーの牛肉が、当たり前と言われます。
2-2. オーガニック大国へ、中国が変貌中
「中国産」と聞いて好意的な日本人は、少ないでしょう。けれども、EUへの有機農産物輸出1位は、中国です。
輸出のためだけに、有機栽培を増やす国家戦略と思いきや、中国は、世界3位の有機農産物生産国でもあります。
「国土が大きいから」だけじゃないです。日本では、全耕作地のうち「0.2%」に過ぎない有機栽培地が、中国では、3倍の「0.6%」もあります。
現在の中国の農地当たり農薬使用量は、2014年をピークに上昇が止まりました。日本・韓国と同じように、下落を始めました。
何年後か、日本よりも中国の消費者の方が、よっぽど有機に対して明るくなっている未来が、訪れてしまっている可能性すらあります。
2-3. 店頭の売場は、消費者の要望の現れ
「SDGs」とか、「サスティナブル」とか、騒がれる昨今ですが、日本の有機農業は、進んでいないです。
長い目で見れば、化学薬品は、悪循環です。土中微生物の減少だったり、耐性病害虫の出現だったり、より強力な化学薬品への傾倒だったり、持続可能には、なりにくいです。
店頭では、見た目重視、価格重視の作物が、圧倒的です。人によって最適解は、もちろん異なりますが、出来る限り、命や健康を守る食べものを選んでいきたいです。
農薬・化学肥料を抑えて作った作物は、活発な微生物が分解した、有機土壌で育ちます。栄養は、高くなります。そして、味も濃く、美味しいことが多いです。大地の活力をぜひ感じて頂きたいと願います。
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以上です。最後までお読みくださり、有難うございました。