商品詳細|南関素麺
機械を全く使わず打つも延ばすも全て手作業、一般的な素麺とまるで違う、コシと滑らかさを感じるはずです。
茹で上がった素麺を見ると、純白で細く、透き通る艶が、とても美しい…。
口に含むと、優しい口当たりと想像以上の噛み応えが顎に伝わります。喉越しも清らかで、高い品が感じられる素麺です。
口当たり、コシ、喉越しの良さは、丸2日を費やす製造工程に理由があります。
『こねる』から『延ばし』て『乾燥』に至る工程の合間には、必ず時間をかけた『寝かし』(熟成)が入ります。
南関素麺は、その度に滑らかになり、鍛えられ、極限まで延ばしても、滅多に切れない弾力を備えていきます。
南関町は、福岡県に接しその名の通り豊前街道の関所があり、宿場町として栄えました。
豊臣秀吉公へ献上で汲まれた水が湧く名水(ホタル)の里で、良質な小麦を産出し、素麺作りに適し発展した歴史があります。
江戸時代には、熊本のお殿様が徳川家への献上品として、明治以降も皇室への献上品として300年余、変わらぬ伝統製法が今に受け継がれています。
気温・湿度で、麺の延び具合が変わります。
僅かな違いを手から感じ取り、捏ね時間、寝かせ時間、延ばす力を加減し、状態を確かめながら、極限まで延ばしていきます。
忍耐と集中、経験を頼りに仕上がりの時を待ちます。作業場は、作業音しか聞こえないピンと張り詰めた空気が流れます。
■ 作り手 「竹製麺所」 さん(熊本県)
2日間の天候を考え、麺の具合を見越し、小麦粉を『こねる』塩水の濃度を、経験と勘で調整することから始まります。
(1).『こね』:小麦粉一粒一粒に塩水が渡るよう、体重を乗せ捏ねていく。大きく出来栄えを左右する80分。
少しでも力を抜くと押し返される弾力と戦い、真冬でも職人の背に湯気が上がる重労働に、魂を注ぎます。
捏ね終わると、桶に入れて乾かないよう菜種油を塗り、ビニールと布団で覆い、約2時間『寝かせ』ます。
(2).『より』:捏ねて寝せた生地を延棒を使って広げ、渦巻き状に切り込み、手で捻り延ばし(これを『より』と言います)、桶に巻き込んで油を塗り『寝かせ』ます。
(3).『より上げ』:小指大の太さまで『より』をかけ、再度桶に巻き込み油を塗って、翌朝まで『寝かせ』ます。ここで1日目が終了です。
(4).『手綯(てない)』:約30cm幅の2本の棒に『より』をかけながら、8の字を描くようにあや掛けしていきます。
ただ延ばすだけでなく、コシを生む『より』をかけながら延ばします。この工程が最も難しく技術を要します。
(5).『引き』:ゆっくり1度引いて『寝かせ』、2度引いて『寝かせ』、3度引いて『寝かせ』ます(この間約2時間)。気温・湿度によっては、4度目も引きます。
(6).『延ばし』:引いた生地を2本の棒を使い、約3mの長さまで、時間をかけて延ばしていきます。
幾度も『より』と『寝かせ』を経る南関素麺は、強く滑らかに延び、風にそよぐ姿は実に清らかです。
(7).『曲げ』:最後に「曲げ枠」という道具を使い1束ずつ、美しい独特の曲げラインを作り、乾燥させて全工程が終わります。